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薬学用語解説

グレリン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会

1999年に児島、寒川によって発見されたグレリンは、もともと成長ホルモン(growth hormone; GH)分泌を促進する薬物・物質であるGH secretagoguesに対する受容体の内因性リガンドとして同定された。グレリンは、アミノ酸28残基から成り、3位のセリン側鎖がn-オクタン酸でアシル化(オクタノイル化)された直鎖ペプチドホルモンである。そのほとんどが胃のX/A-like細胞と呼ばれる分泌細胞で合成され、血中に放出されるが、下垂体、視床下部、精巣にも存在が認められている。グレリンは,下垂体に働きかけ、GH分泌を強力に刺激する。また、視床下部に働きかけ、強力な摂食亢進ホルモンとして作用する。グレリンは,体重増加や脂肪組織を増大させるため、脂肪細胞が産生する抗肥満ホルモンで,食欲抑制に働くレプチンに拮抗するホルモンである。消化管運動の亢進や心血管系保護作用など、多彩な作用も報告されている。