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薬学用語解説

生物間相互作用

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

「生物間相互作用」とは、生物が互いに影響を及ぼし合うことであり、被食―捕食、競争、寄生、共生関係などが挙げられる。共生関係は、互いに利益がある相利共生と、一方だけに利益がある片利共生に分けられる。寄生と片利共生の違いは、寄生は利益がない側に害がある場合、片利共生は無害な場合を言う。微生物の作り出す二次代謝物は、生物活性物質として生物間相互作用に重要な役割を果たしていると考えられている。例えば、糸状菌が作り出すペニシリンやアフラトキシン類は、細菌との競争に勝つための抗菌物質、補食から防衛する毒素である。最近、生物間での外部刺激が、エピジェネティックに生物活性物質の生産を制御していることが明らかになりつつある。創薬リード探索の立場から寄生や内生などの生物間相互作用に着目し、その中で糸状菌が作り出す様々な生物活性物質を、ケミカルエピジェネティクスにより実験室レベルで生産させる研究が脚光を浴びている。