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薬学用語解説

芳香族化合物

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会

芳香族性を持ち特別に安定化された化合物を芳香族化合物と言う。芳香族性とは平面で環状、完全な共役(共鳴)系を持ち、その共役に関与する電子の数が4n+2個の2つの条件を同時に満たす分子が持つ性質である。この場合、単純なアルケンでの共役以上の安定化が得られる。代表的芳香族化合物としてベンゼンがあるが、ベンゼンを構成している6個の炭素はすべてsp2混成軌道をもつ。これらの炭素の三つのsp2軌道のうち、二つは隣の炭素のsp2軌道とC−C のδ結合を、残りの一つは水素の1s 軌道とC−H のσ結合を形成する。このsp2混成炭素は六員環平面に対して垂直方向に、もう一つのp 軌道をもつ。このp 軌道は両隣の炭素のp 軌道と"等しく"重なり合って、環平面の上下にドーナツ型の電子軌道を形成する。この軌道の中に各炭素のもつ計6個のπ電子が特定の炭素に帰属することなく非局在化した状態で収容される。したがって、ベンゼンの6個のC−C 結合は等価で、単結合でも二重結合でもなく、その中間の性質を有する。