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薬学用語解説

共有結合

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

電子の移動ではなく電子の共有により結合を形成する。これを共有結合という。たとえば2個の水素原子が電子を1個ずつ出し合い共有することにより水素分子(H2)を形成する。このとき、どちらの水素原子も2個の最外殻電子をもっていることになり、ヘリウム原子の電子配置と同一とみなせる。炭素は4個の最外殻電子をもっているので四つの共有結合によって合計8個の電子を共有する必要がある。メタン分子は炭素原子と4個の水素原子との間で四つの共有結合を形成することにより安定な分子となっている。この場合、炭素原子の電子配置はネオン原子と同一でありオクテット則を満足している。点電子構造(ルイス構造)で書くと水素は2個の最外殻電子をもち炭素は8個の最外殻電子をもっている。イオン化により希ガスと同様の電子配置をとりにくい原子の場合は、イオン結合をつくりにくく共有結合をとる。 ある結合が共有結合性であるかイオン結合性であるかは結合にかかわる原子の性質による。水素分子や塩素分子は同一の原子から構成されており、電子は均等に共有されている。したがって完全に共有結合性である。しかし異なった原子、特に電気陰性度の差が大きい原子同士から成る分子では電子は均等に共有されておらず、結合が極性をもっている。したがって、そのような分子では共有結合とイオン結合の両者の性質をもつ結合となる。一般に電気陰性度の差が2.0 以上の場合、イオン結合とみなされるが、明確に分ける区切りというわけではない。たとえば、C−Mg 結合は共有結合性が65%、イオン結合性が35%というように表現される。