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薬学用語解説

σ値

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

置換基の電子効果によりベンゼン環では電子密度が変化する。ハメットのσ値はこの電子効果を数値化したパラメーターである。無置換安息香酸の酸性度定数をpKaH、置換基Xが結合した安息香酸はpKaXとすると置換基Xのハメット値は σX = pKaH-pKaX で表される。σ値が負の時は電子供与基、σ値が正の時は電子求引基であり、それぞれ数値が大きいほどその効果は強い。これは安息香酸の解離型の安定性が置換基の電子効果により変化する(電子供与で不安定化、求引で安定化)することを利用して定義されている。置換基がp-位にある場合はσp、m-位にある場合はσm値となる。なお、置換基がo-位にある場合は電子効果とともに立体効果も関与する。医薬品候補化合物の定量的構造活性相関や、化学反応の機構解析に用いられる。