薬学用語解説
双極子モーメント
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
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異なる種類の原子が共有結合している場合、共有電子対は電気陰性度の大きい原子側により強く引きつけられ,電荷の偏りを生じる。これを結合の分極といい、分極したものを双極子という。電荷の偏りは記号δを用いて表され、分極の度合いは双極子モーメントによって示される。双極子モーメントは方向を持つベクトル量であり、その大きさは原子の電荷の大きさと二つの電荷間の距離の積で表される。個々の結合は分極していても、双極子モーメント間で打ち消しあい、分子全体としての双極子モーメントは観測されない場合がある。分子の分極はその分子の物性(たとえば物質の沸点や酸性・塩基性の強度)、化学的性質などに大きく影響を与える。