薬学用語解説
過酸化水素
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
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過酸化水素は酸素分子の分子軌道の2つのπ*軌道(反結合性のπ軌道)が4つの電子で占有され、飽和した状態の活性酸素種であり、ラジカルではない。酸素分子が2電子還元された状態にプロトン(H+)が2個結合したものととらえることができる。純粋な過酸化水素は淡青色、シロップ状液体で水と自由に混合し、エタノールやエーテルに溶ける。市販の過酸化水素は通常30%水溶液で、日本薬局方収載のオキシドールは2.5~3.5%水溶液である。漂白剤や殺菌剤として用いられる。さらに高分子の重合触媒、液体ロケット燃料などにも用いられる。生体内ではカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼが過酸化水素の消去や還元を行う。