薬学用語解説
フィッシャーのエステル化反応
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
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カルボン酸と過剰量のアルコールを酸触媒で反応させてエステルを合成する方法。ドイツの化学者Emil Fischer(エミール フィッシャー 1852~1919)にちなんだ命名である。 酸触媒によりカルボニル基がプロトン化(2の生成)し、このカルボニル炭素にアルコール(R-OH)が求核付加する(3の生成)。プロトンの移動(3から5)後、水が脱離してエステルが生成する。すべての段階は可逆で平衡反応である。よってFischerのエステル合成は、エステル生成に平衡を傾けるためアルコールを大過剰、通常はアルコール溶媒中の条件で行う。逆反応であるエステル加水分解を酸触媒で行う場合には、水中で反応させる。 図において1がRCOOR'(エステル)の場合も同様の反応が進行し、異なるアルコール中(R2-OH)中で行うとアルキル基の異なるエステル(RCOOR2)が生成する。これをエステル交換反応という。