薬学用語解説
メソ体
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
化学系薬学部会
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2個以上のキラル中心をもつ化合物の可能な立体異性体の中には、対称面を持つために光学不活性なものがある。そのような例の一つが、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸)であるが、酒石酸では2位と3位の炭素がキラルである。立体異性体のうち2(S)3(R)体は2位と3位炭素間に対称面を持ち、2(R)3(S)体と同一化合物であり、キラル分子ではない。また、上半分と下半分に由来する旋光性が相殺されるのでメソ形は光学不活性である。一般にn個のキラル中心をもつ化合物では2nの立体異性体が存在するが、メソ体が存在する場合は立体異性体の数は2n -1となる。