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薬学用語解説

不活化ワクチン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医療薬科学部会
© 公益社団法人日本薬学会

病原体や病原体の構成成分、病原体の産生する毒素などを分離・精製して、感染防御抗原に影響を及ぼすことなく、ホルマリン、フェノールの添加、加温処理、紫外線照射などを用いて不活化して感染性や病原性を消失させたものである。ワクチンの有効性を担う感染防御抗原の実体により、菌体ワクチン(又は全粒子ワクチン)、成分ワクチンおよびトキソイドという。全粒子ワクチンには日本脳炎ワクチン、不活化狂犬病ワクチン、不活化A型肝炎ワクチンがあり、成分ワクチンにはインフルエンザHAワクチン、組換え沈降B型肝炎ワクチン、沈降ジフテリア・百日せき・破傷風混合ワクチン、トキソイド(toxoid)には沈降ジフテリア・破傷風混合ワクチンなどがある。B型肝炎ワクチンは遺伝子組換え酵母の培養により調整された唯一の組換えワクチンである。このワクチンには免疫を増強するための免疫補助物質(アジュバント adjuvant)として水酸化アルミニウム(アラムゲル)が添加されている。また、ジフテリア菌および破傷風菌などの細菌由来毒素を不活化したトキソイドにも同様にアラムゲルが添加されており、沈降トキソイドという。不活化ワクチンによる免疫は液性免疫系を刺激して成立するので免疫持続が短い。ある一定間隔で数回摂取して基礎免疫を与え、以後一定の年をおいての追加免疫が必要になる。最終製品はすべて製品ロットごとに、国立感染症研究所において国家検定が実施され、適合するものだけが出荷される。