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薬学用語解説

メタボリックシンドローム

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年11月02日
医療薬科学部会
© 公益社団法人日本薬学会

動脈硬化の危険因子である「インスリン抵抗性」、「動脈硬化惹起性リポタンパク異常」、「血圧高値」を重複してもつ心血管病易発症状態。シンドロームX、死の四重奏、インスリン抵抗性症候群、内臓脂肪症候群とも呼ばれてきた複合生活習慣病である。2008年4月より、特定検診制度(糖尿病等生活習慣病に関する健康診査)を、40 - 74歳の中高年保険加入者に実施し、メタボリックシンドローム該当者または予備軍と診断されたものに対して、特定保険指導を行なうこととなった。厚生労働省は約2,000万人がメタボリックシンドロームと予備軍に該当すると推定している。  日本では2005年に、日本肥満学会など8学会が定めた診断基準が使われている。 これは、内臓脂肪面積 ≧ 100平方cm (腹囲 男性 ≧ 85 cm、 女性 ≧ 90 cm)、であり且つ(1) 血圧 ≧ 130/85 mmHg、(2)中性脂肪 ≧ 150 mg/dl またはHDLコレステロール(HDL-C) < 40 mg/dl、(3)血糖値 ≧ 110 mg/dl の3項目中2項目以上を満たす場合である。  一方、ここで定めた基準値が血管疾患発症の有意なリスクであるというエビデンスが乏しい、あるいは女性の腹囲 ≧ 90cmの基準は、多くの高リスク女性を見逃しているのではないか、日本の基準が他国の基準と異なるため国際的比較が困難となる、などの批判もある。