薬学用語解説
腸肝循環
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医療薬科学部会
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生体物質や薬物などが胆汁とともに胆管を経て十二指腸に分泌され、腸管から再び吸収されて門脈を経て肝臓に戻るサイクル。ビタミンD3、ビタミンB12、葉酸、ビタミンB6(ピリドキシン)、エストロゲンや肝細胞で合成される胆汁酸などの効率的利用に役立っている。 ジゴキシン、ジギトキシン、インドメタシン、モルヒネなどの薬物はグルクロン酸抱合をうけ、肝細胞の胆管側細胞膜からトランスポーターを介して胆汁中に移行する。抱合体は、極性が高く一般に小腸から吸収されにくいが、腸内細菌のβグルクロニダーゼにより加水分解をうけ母化合物にもどり、吸収される。胆管結紮あるいは抗生物質投与により腸内細菌叢に変化があると、腸肝循環に乱れがおこり、薬物効果の持続性に影響がでてくる。