薬学用語解説
多発性骨髄腫
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月22日
医療薬科学部会
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骨髄中に位置する形質細胞のがん。形質細胞とは、白血球の一種であるB細胞が成熟し、抗体産生能を獲得した最終分化細胞のことを指す。全身の骨髄に腫瘍が"多発"することから多発性骨髄腫と呼ばれる。主に中高年が罹患し、我が国では2万人近い患者が存在する。長い間有効な治療法の乏しい難病であったが、最近になり複数の優れた治療薬が開発されるようになった。特にタンパク質分解系におけるプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブやカルフィルゾミブなど)や、E3ユビキチンリガーゼであるセレブロンを分子標的とする免疫調節薬(レナリドミドやポマリドミドなど)が登場したことにより、本疾患の予後は急速に改善されている。