薬学用語解説
ウィルソン病
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月27日
医療薬科学部会
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ウィルソン病は、予後不良な肝硬変を伴う錐体外路障害を示す疾患として1912年に報告された。銅輸送タンパク質であるATP7Bの遺伝子に異常が生じている常染色体劣性遺伝性の銅代謝異常症であり、放置すれば肝臓に多量の銅が蓄積して重い肝障害を発症する。早期発見により発症予防や疾患治療が可能であり、血中や尿中の銅結合セルロプラスミンを指標とした診断や、末梢血からのATP7B遺伝子解析から患者の早期発見が実現されている。臨床における治療薬には、銅排泄を促進するキレート剤のD-ペニシラミンや塩酸トリエンチン、および食事由来の銅と結合して腸管からの銅吸収を妨げるメタロチオネインを誘導する酢酸亜鉛が使用されている。