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薬学用語解説

ウイルス性肝炎

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医療薬科学部会
© 公益社団法人日本薬学会

ウイルスの感染によって起る肝炎の総称。肝炎とは肝臓に起こる炎症で、ウイルス以外にもアルコール、薬物、自己免疫や胆道疾患が原因となる。原因となるウイルスには、A、B、C、D、E、F、GおよびTT型ウイルスの8種類があり、B、FおよびTT型はDNAを、そのほかはRNAをゲノムとするなど、それぞれのウイルスの性質や病原性、および感染による症状には多様性がある。A型肝炎ウイルスは水・食物を介して口から入り、腸管内で増殖し、門脈を通って肝臓のなかに侵入する。発熱・全身倦怠感・食欲不振・悪心など、かぜに似た症状から、39度台の高熱を発し、数日後には黄疸が出現するが、8週以内には完治するといわれ、自然治癒率は高い。B型肝炎は 輸血、あるいは注射、傷口から、主として血液を介して、ウイルス(HBV)が体内に侵入し、感染をひきおこす。最近は献血で、HBs抗原のスクリーニングがされるようになったので、輸血後のB型肝炎は少なくなった。C型肝炎は血液を介したウイルスの感染により発症する。特に血液製剤により感染した薬害C型肝炎が社会的に大きな問題となっている。A・B型の肝炎に比べ、発熱、全身倦怠感などの症状が軽いが、50~80%が慢性化して肝硬変、肝がんに進展することが多い。慢性化した肝炎の治療には抗ウィルス薬であるラミブジン、アデフォビル、エンテカビルがB型肝炎に、インターフェロン類がC型肝炎に用いられる。