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薬学用語解説

抗インフルエンザ薬

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医療薬科学部会
© 公益社団法人日本薬学会

インフルエンザの予防には一般的に、流行前のワクチン接種が行われる。これとは別に、抗インフルエンザウイルス薬として、アマンタジン(商品名シンメトレルなど)、ザナミビル(商品名リレンザ)、リン酸オセルタミビル(商品名タミフル)が使用されている。 アマンタジンは、パーキンソン症候群治療薬であるが、A型インフルエンザウイルスのM2タンパクに作用し、ウイルスの遺伝子が細胞内に送り込まれるのを阻止するため、A型インフルエンザにのみ有効な治療薬としても用いられる。 ザナミビルとリン酸オセルタミビルはウイルス表面に存在するインフルエンザウイルスが細胞から細胞へ感染、伝播していくために不可欠なノイラミニダーゼを阻害するため,A、B型のインフルエンザウイルスに有効である。ザナミビルは吸入で、リン酸オセルタミビルは内服で使用する。発症後48時間以内に使用することにより、合併症のないインフルエンザでの罹病期間を短縮することが確認されている。また、予防にも用いられる。しかし、因果関係は不明であるが、小児・未成年者に投与した場合、異常行動発現の恐れがある。抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を検討しなければならない。