薬学用語解説
PBRER
定期的ベネフィット・リスク評価報告
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
レギュラトリーサイエンス部会
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ICH E2C ガイドライン「臨床安全性データの取扱い:市販医薬品に関する定期的安全性最新報告」は、1996 年にステップ 4 となり、規制当局に対する定期報告の規制要件を調和させることと、共通様式により、承認後一定のタイミングで、医薬品に関する全世界の安全性情報を定期的に報告することを意図していた。当時、定期的安全性最新報告(PSUR)の焦点は、使用患者数を考慮した関連する新規の安全性情報に当てられていた。本ガイドラインは、2003 年に改訂され、この分野の進展を考慮しガイドラインをより有用なものとするために、その焦点を再調整することの合意につながるいくつかの要因が明らかとなった。 医薬品安全性監視における技術及び科学の著しい進展。例えば、規制当局に対する個別症例安全性報告(ICSR)の電子的提出、自動化されたデータマイニング技術、及びベネフィット・リスク評価に対する関心の高まり 能動的かつ文書化されたリスク管理計画のさらなる重視 重要な新規のリスク情報の有意義な評価は、医薬品のベネフィットと関連づけて行うべきで あるという認識の高まり 医薬品安全性監視に関連する他の ICH ガイドラインとの内容の重複 2012 年 11 月には、上記のファーマコビジランス活動の変化の背景を鑑みて、市販医薬品の定期安全性最新報告の価値の最大化を図ることを目的に、改訂ガイドラインとなるICH E2C(R2)ガイドラインが取りまとめられた。PSUR の主たる目的は、当初は既承認医薬品の安全性に関する全体像を示すことにあったが、本ガイドラインでは特にリスク推定値の重大な変更があった際に、ベネフィット・リスクの全体的かつ系統的な評価が必要となった。したがって、名称は「定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)」とされた。PBRER では、現在では新規の情報に注目する一方で、医薬品に関する累積的な知見についても非常に重要視している。 欧州においては 2012 年 7 月に発効されたファーマコビジランス規制にも既に盛り込まれており、それに関連した欧州 Good Pharmacovigilance Practices のガイダンス Module Ⅶ においても、PSUR をこの E2C(R2)ガイドラインに準じて作成することが先んじて求められている。