薬学用語解説
RNA interference
RNA干渉/RNA i
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
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内在する標的mRNAに相同な二本鎖RNAを細胞内に導入すると、標的遺伝子の発現抑制が生じる現象、またその実験手法をさす。1998年に、Fireらによって初めて報告された。元来、ウイルスなど外来のRNAによる感染から身を守るために生物が獲得したRNA分解機構と考えられており、この遺伝子発現調節機構は植物や昆虫から哺乳類まで、広く存在する。具体的には、標的遺伝子をコードするRNAを二本鎖RNAとして細胞に投与すると、細胞内でdicerとよばれる酵素によって切断され、21~25塩基長の短いdsRNAS(siRNA)が生成する。さらにsiRNAの二本鎖がほどけて複数のタンパク質とともに複合体を形成し、siRNAと相補的なmRNAに結合し、これを切断する。細胞生物学の研究では、RNAiを用いることで簡易に特定の遺伝子由来mRNAを分解し、遺伝子発現を抑える手法として用いられている。