薬学用語解説
高分子ミセル
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
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高分子ミセルは、両親媒性を有する高分子の集合体である。用いられる高分子は親水性の高い鎖と疎水性の高い鎖とを連結したブロック共重合体であり、疎水性部分を核として100個程度の高分子が会合することで粒子径10~100nm程度の粒子が形成され、これを高分子ミセルと呼ぶ。内部の疎水性部分に脂溶性薬物を封入するキャリアとして利用されることが多い。代表的な高分子としては、親水性部分にはPEGが、疎水性部分にはポリアミノ酸誘導体などが用いられる。現在、パクリタキセル、シスプラチン、ドキソルビシンなどの抗がん剤のキャリアとして開発が進められており、臨床治験中の薬剤も複数存在する。