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薬学用語解説

RAN翻訳

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月27日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

一般的にタンパク質への翻訳は、開始コドン(ATG)から始まる。しかし、特定の塩基配列の非常に長い繰り返し配列(リピート配列)が存在すると、開始コドンがなくても翻訳が生じることが2010年に実験的に確かめられ、repeat-associated non-ATG(RAN)翻訳と呼ばれるようになった。リピート配列の異常伸張に起因する多くの神経・筋疾患では、変性過程にある細胞に、リピート配列由来のポリペプチドが蓄積しており、発症に重要な役割を果たしていると考えられている。RAN翻訳が生じるのに必要なリピート数やリピート配列のパターン、開始・終止点、従来の翻訳機構との異同などは、現状では不明である。