薬学用語解説
angiotensin
アンギオテンシン/アンジオテンシン受容体
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会
レニン-アンジオテンシン(RA)系はナトリウム(塩分)を体内に貯留させ循環血液量を増やし、血管平滑筋を収縮させ血圧を上昇させる生体の代表的な昇圧系ホルモンであり、高血圧の成因、維持や、動脈硬化の発症、進行に重要な役割をはたしている。循環系RA系は血圧、電解質バランスの急性の機能的変化を担い、組織RA系は慢性の心肥大、血管肥厚、動脈硬化のような構造的変化(リモデリング)に関与すると考えられている。RA系では、レニンによってアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIが生成し、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンIIに変換される。 アンジオテンシンII対する受容体にはAT1とAT2の2種類のサブタイプがあり、AT1受容体は血管収縮・動脈硬化作用、AT2受容体はその反対の血管拡張・抗動脈硬化作用が主体である。AT1受容体は血管平滑筋、肺、肝臓、腎臓、副腎、卵巣、脾臓、脳に分布し、血管収縮作用、血管壁肥厚作用、動脈硬化作用、心筋収縮力増強作用、心筋肥大作用を介している。 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は降圧薬としてのみならず、抗動脈硬化薬としても注目されている。