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薬学用語解説

ヘパリン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

ヘパリンはウロン酸とグルコサミンの反復単位で構成される酸性ムコ多糖類で、肝臓で生成される。分子中に多数の硫酸基が含まれ負に帯電しており、種々の生理活性物質と相互作用する。 ヘパリン自体に抗凝固作用はないが、生理的凝固阻止因子であるアンチトロンビンによる各種セリンプロテアーゼ(トロンビン、ファクターXaなど)の不活性化作用を促進する。ヘパリン製剤はウシ肺またはブタ腸粘膜などから作製され、分子量は約30,000-35,000と種々のものが混在する。播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療・再発予防、静脈血栓症の治療・予防、体外循環装置使用時やカテーテル使用時の血液凝固の阻止に用いられる。出血の副作用が少ない、低分子量ヘパリン(分子量4,000-6,000)の使用が増えている。低分子量ヘパリンは、糖鎖が短いため抗トロンビン作用が弱く、主にファクターXa阻害作用による抗凝固作用を発揮する。