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薬学用語解説

COX
シクロオキシゲナーゼ

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

プロスタグランジンの合成酵素。炭素数20の多価不飽和脂肪酸と 2個の分子状酸素との反応を触媒し、特徴的な5員環構造とヒドロペルオキシ基をもつプロスタグランジンGを合成し、プロスタグランジンヒドロペルオキシダーゼ活性によりプロスタグランジンHを産生する。本酵素のヘム鉄がこれらの反応に関与している。本酵素にはCOX-1とCOX-2の二つのアイソザイムが存在する。COX-1は動物細胞に幅広く分布し、体内局所での状況変化に速やかに対応する生理的応答に関与するため細胞内小胞体に発現している構成(常在)型酵素である。COX-2は誘導型酵素であり炎症や腫瘍形成などの病態に関係し、細胞内では核膜に主として存在する。COX-2の誘導因子としては、発がんプロモーター、エンドトキシン、サイトカインや増殖因子が、誘導抑制因子としては抗炎症性グルココルチコイドであるデキサメタゾンがある。種々の非ステロイド性抗炎症薬はCOX-1とCOX-2をどちらも抑制するものが多い。COX-1阻害薬による副作用として胃腸管障害がおこる。COX-2選択性阻害薬はこの副作用の無い鎮痛薬として汎用されているが、心血管系副作用が問題となっている。「同義語=シクロオキシゲナーゼ」