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薬学用語解説

ヒストン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

ヒストンはH1、H2A、H2B、H3、H4の5主成分からなり、リシン及びアルギニンに富む塩基性タンパク質で、分子量は1万~2万である。生物種による差が少なく、進化的に安定なこともヒストンの特徴である。真核生物の核の中で、DNAはコアヒストンとよばれるH2A、H2B、H3、H4各2分子から構成されるヒストン8量体に巻きつき、ヌクレオソームと呼ばれる構造を形成する。ヌクレオソームが数珠状に連なった構造をクロマチンと呼ぶ。ヒストンH1は、コアヒストンとは異なり、ヌクレオソーム間のDNA(リンカーDNA)に結合するリンカーヒストンである。ヒストンの化学修飾によるクロマチン構造の変換は、転写の活性化を引き起こす。このように、ヒストンは構造タンパク質として働く一方で、遺伝子発現調節などの重要な役割を演じるタンパク質でもある。