薬学用語解説
遺伝子クラスター
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
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ある1種類の二次代謝産物において、その化合物のほぼ全てを生合成する複数の酵素が染色体上の1か所に集合してコードされている領域。複雑な化学構造を有する抗生物質などに至っては、20〜30種類の酵素群が1か所に集合してコードされ、その領域が50kbpを超えるものも多数存在する。一方で、タキソールなどの植物由来の天然物では遺伝子クラスターを構成することなく生合成酵素が染色体上に散逸してコードされている場合も知られている。複数の異なる生物種から同一あるいは類似の天然物が単離される場合があるが、これは1つの遺伝子クラスターが水平伝播したことでその生合成能力が備わったと考えられることもある。 より広義には、上記のように、集合的に働いて共通した機能を担うポリペプチドやタンパクをコードする遺伝子群が、同一染色体または相同染色体の近接した位置に存在しているものを指す。