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薬学用語解説

ヒスタミン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

L-ヒスチジンからヒスチジンデカルボキシラーゼにより脱炭酸されて生成する生体アミン。ほとんどは組織の肥満細胞(マスト細胞)と血液中の好塩基性白血球に、ごく一部が神経にも存在する。肥満細胞からは、抗原刺激により細胞膜上のIgE受容体を介して、あるいは物理的刺激、化学的刺激、薬物などで遊離される。H1-H4の4種類のヒスタミン受容体が知られている。いずれも7回膜貫通型受容体(GPCR)である。H1受容体はGq/11タンパクを介してホスホリパーゼCと共役する。内皮細胞からのNO、PGI2など血管弛緩因子の放出、血管透過性の亢進、気管支平滑筋の収縮、消化管の収縮などの作用を発揮する。H1拮抗薬は抗ヒスタミン剤として知られ、アレルギー症状の緩和に用いられる。H2受容体はGsタンパク質と共役しアデニル酸シクラーゼを活性化しcAMPを生成する。胃の壁細胞からの酸分泌を促進する。H2拮抗薬は胃酸分泌を抑制し、胃潰瘍や逆流性食道炎治療に用いられる。H3受容体は中枢ヒスタミン神経のシナプス前部にあり、ヒスタミンの遊離を調節する自己受容体として働いており、種々の神経伝達物質の放出制御に関与している。H3拮抗薬は覚醒促進作用を示しナルコレプシーの治療薬として用いられている。H4受容体は骨髄や白血球など主に免疫系細胞に発現し免疫反応への関与が示唆されている。