薬学用語解説
ミスマッチ塩基対
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
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DNAはG、CとA、Tの互いに相補的な水素結合基を有する核酸塩基が水素結合した塩基対から形成されている。これらG―C、A―T塩基対をWatson-Crick塩基対と呼ぶ。一方、これらG―C、A―T以外にも核酸塩基の組み合わせはG―G、G―A、G―T、A―A、A―C、C―T、C―C、T―Tの8種類可能である。これら8種類の塩基対をミスマッチ塩基対と呼ぶ。ミスマッチ塩基対はWatson-Crick塩基対に比べると、熱力学的な安定性が低下しミスマッチ塩基対を含む二重鎖は、完全に相補的なDNA二重鎖と比べて低い温度で二重鎖の解離が起こる。DNAマイクロアレイでは、アレイ上の標的DNAに対して完全に相補的なDNAだけが二重鎖を形成する温度条件を用いている。DNA中では複製エラーにより生じるが、修復酵素により除去される。バルジ構造と同じくRNAにはごく普通にみられる構造である。