menu

薬学用語解説

ATP
アデノシン5′-三リン酸

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
医薬化学部会
© 公益社団法人日本薬学会

C10H16N5O13P3、分子量507.18。アデノシンの5′位のヒドロキシル基にリン酸が三つ結合したヌクレオチド。分子中に高エネルギーリン酸結合を二つ含む。生体においてエネルギーの伝達体として働き、数々のエネルギー代謝に関与し、エネルギーの獲得および利用に重要な働きを演じている。ATPがADPとリン酸に加水分解されると、7.3kcal (31kJ)のエネルギーを発生する。ATPの加水分解と共役することによって、糖代謝におけるリン酸化中間体を合成する反応、筋肉の収縮、生体膜を介した物質の能動輸送など、さまざまな反応がエネルギーを供給されている。ATPは糖、脂肪酸、アミノ酸などの代謝により合成される。糖(グルコース)が好気的な条件で代謝される場合は、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、酸化的リン酸化を経て、1分子のグルコースから32分子のATPが産生される。脂肪酸(パルミチン酸)のβ酸化、クエン酸回路、電子伝達系、酸化的リン酸化による一連の反応により、実質106分子のATPが産生される。 ATP は日本薬学会発行の4論文誌でスペルアウト不要の略語である。