薬学用語解説
随証治療
ずいしょうちりょう
随証療法
作成日: 2024年05月13日
更新日: 2024年05月13日
生薬天然物部会
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西洋医学は、患者の検査にかなりの力を注ぎ、病名を確定させ、病名に対して治療内容が決定する。一方、漢方では、病名ではなく患者個々の全身状態を表した診断に基づいて治療を行う。この治療には、「証(しょう)」という概念を用いる。証とは、患者の体質、病体の個性や、心と体の状態を全体的に表した治療の指示をいう。全身状態を正確に表すためには物差しが必要であり、それが陰陽、虚実、寒熱、表裏、気血水の概念である。漢方では、この「証」の決定が処方の決定となる。このように証に従って治療することを随証治療(ずいしょうちりょう)という。漢方医学でも、また西洋医学でも「疾病の治療」を行う点では同じであるが、漢方では基本理論として疾病を時間的経過に従い動的に捉えているので、同じ疾病でも治療法が異なる場合がある。一方、西洋医学では1つの疾病に対して、基本的に1つの治療法を用いる。