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薬学用語解説

神農本草経
しんのうほんぞうきょう/しんのうほんぞうけい

作成日: 2024年05月13日
更新日: 2024年05月13日
生薬天然物部会
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神農本草経(しんのうほんぞうきょう、しんのうほんぞうけい)は、中国最古の薬物学(本草学)書であり、個々の生薬の薬効について述べている。中国古代の伝説の帝王で農耕・医薬・商業の神「神農」にその名を託した。一年の日数に合わせた365種の薬物を上品(じょうほん、120種)、中品(ちゅうほん、120種)、下品(げほん、125種)と薬効別に分類している。(上薬、中薬、下薬ともいう)上品は養命薬(生命を養う目的の薬)で、無毒で長期服用が可能。身体を軽くし、元気を益し、不老長寿の作用がある。中品は養性薬(体力を養う目的の薬)で、使い方次第では毒にもなるので注意が必要。病気を予防し、虚弱な身体を強くする。下品は治病薬(治療薬)で、毒性が強いものが多いので長期にわたる服用は避けたほうがよい。病気を治すために用いる。このように「神農本草経」では保健もしくは予防的な薬物が上ランクに、治療薬が下ランクに位置している。『黄帝内経』、『傷寒雑病論』とともに、中国医学における三大古典の1つに数えられる。