薬学用語解説
陰陽論
いんようろん
陰陽, Yin-Yang
作成日: 2024年05月13日
更新日: 2024年05月13日
生薬天然物部会
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古代中国の中心をなす思想で、全宇宙に存在するもの一切を「陰」と「陽」に分け、対立する関係に置き換えて考える。例えば、太陽が陽、月が陰、昼が陽、夜が陰、男が陽、女が陰である。しかし、このように陰陽に分けられたものが常に陰であり、陽であるわけではない。昼の陽の中に日なたが陽、日陰が陰、男が陽であっても走り回っているときが陽、静かに休んでいるときが陰であるように、陰陽は固定概念ではなく、時と場所、状況や関係に応じて変化しながらバランスを取っている。このような陰陽論(いんようろん)は様々な分野で用いられているが、漢方で用いるときは、病気は陰陽のバランスが崩れたときに起こると考えられている。さらに「傷寒論」では、病邪と熱を出して闘っている状態を陽病とし、悪寒中心の状態を陰病とし、さらにそれぞれを3つのステージに分類することで、病気(急性疾患)の進行状況を示している(三陰三陽論(さんいんさんようろん))。