薬学用語解説
気血水
きけっすい
作成日: 2024年05月13日
更新日: 2024年05月13日
生薬天然物部会
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気血水(きけっすい)とは、人間の生命エネルギーや体の働きを表す漢方特有の概念であり、生体の異常を説明する三つの生理的因子である。「傷寒論」では三陰三陽、虚実とともに、病態をはかるものさしとしている。気とは生命活動を営む根源的なエネルギーで、気血水論では精神面に関する機能的活動を統括する要素である。気の異常には、気が不足した状態の気虚(ききょ)(主な症状は無気力、倦怠感など)、気が偏り滞った状態の気滞(きたい)(焦燥感、憂鬱など)、気が頭部へ逆流し、発作性の症状を示す気逆(きぎゃく)(不眠症、いらいら感など)に分類される。血は気によって巡らされる赤い液体のことで、西洋医学の血液と同等のものである。血の異常には、血が不足した状態の血虚(けっきょ)((貧血、不眠傾向、顔色が悪いなど)、血が滞った状態の瘀血(おけつ)(のぼせ、冷え、頭痛、生理痛など)に分けられる。水は血以外の体液を示し、水の異常には、水の停滞、偏在が起こった状態である水毒(すいどく)(水滞(すいたい))(口渇、むくみ、水太りなど)がある。