薬学用語解説
四診
ししん
望診, 聞診,問診,切診
作成日: 2024年05月10日
更新日: 2024年05月10日
生薬天然物部会
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漢方医学で用いる4つの診断方法、すなわち、望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)を総称して四診(ししん)という。四診により、証を明らかにし、使用する漢方処方を決定する。望診とは視診のことであり、患者全体を観察し、肉付き、骨格、顔色、皮膚の艶、舌の状態などを診る。特に舌を観察することを舌診(ぜっしん)といい、漢方では舌は体内の状態を反映する鏡と考え(すなわち気・血・水とのつながりが深いことを意味する)、重視する。聞診では、聴覚、嗅覚により音声、咳嗽音、呼吸音、口臭、体臭、尿・便臭などを診る。問診では、患者や家族などから病歴、主訴、家族歴などを聴取する。切診は、医師が直接患者の身体に手を触れて診察することであり、脈診と腹診がある。脈診では、脈拍・不整脈だけでなく、脈の速さ・強さ・深さ・緊張度などによって病態を把握し、一方、腹診では胸脇苦満、心下痞硬、胃内停水など腹部の特別な所見の有無を診る。腹診は、日本で独自に発達した診察法である。