薬学用語解説
質量分析法
作成日: 2024年05月10日
更新日: 2024年05月10日
生薬天然物部会
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マススペクトロメトリー(MS, 質量分析)法は、化合物の分子量や分子構造情報などを得るための手法である。質量分析計に導入された化合物は、イオン源にてイオン化され、質量分析部においてm/z(mは質量、zは電荷)に基づいて分離され、イオン検出器によって検出される。導入部に様々なクロマトグラフィーを用いることにより、混合試料から1つ1つの成分についての分析が可能である。また、イオン化法(EI:電子イオン化法、FAB:高速原子衝撃法、APCI:大気圧化学イオン化法、ESI:エレクトロスプレーイオン化法、MALDI:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法など)および質量分析部(二重収束磁場型、四重極型、飛行時間型など)等の組み合わせにより、低分子の有機化合物だけでなく、分子量10万以上のタンパク質の分子量の決定、ペプチドや多糖類の配列決定などにも用いられる。分解能を高く設定出来る質量分析装置では、イオンの質量を小数点以下4桁まで測定することにより、イオンの元素組成を求めることが可能である。
MSは日本薬学会発行の4論文誌でスペルアウト不要の略語である。