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薬学用語解説

バルビタール
Barbital

作成日: 2024年05月09日
更新日: 2024年05月09日
生薬天然物部会
© 公益社団法人日本薬学会

バルビタールは、バルビタール系(バルビツール酸系)睡眠薬の総称として使われる場合と、ジエチルバルビタール(商品名veronal)という特定の化合物を表す2つの場合がある。

 バルビタール系(バルビツール酸系)睡眠薬はベンゾジアゼピン系と並ぶ代表的中枢系睡眠、鎮静薬。IUPAC命名法ではバルビタール骨格の名称はpyrimidine-2,4,6(1H,3 H,5 H)-trioneとなる。すでに5000以上の誘導体が合成され、50以上の化合物が市販された。Cl-チャネルであるGABAA受容体に作用して、GABAの作用を増強する。代表的な薬物としてはフェノバルビタール、アモバルビタールなどがある。ベンゾジアゼピン系薬物もGABAA受容体に作用するが、作用点が異なるために両薬物の構造に類似性は認められない。5位に2つのアルキル基あるいはアリール基が置換していることが活性発現に重要であり、ここの置換基の脂溶性と薬物の効果に相関が示されている。なお、3位の酸素がイオウになるとチオバルビタールと呼ばれる。