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薬学用語解説

セスキテルペン
sesquiterpene

作成日: 2024年05月09日
更新日: 2024年05月09日
生薬天然物部会
© 公益社団法人日本薬学会

セスキテルペンは、3個のイソプレン単位からなるファルネシル二リン酸(FPP)を共通の前駆体として生合成されるイソプレノイドである。FPPの様々な閉環反応により、膨大な数の単環性、二環性および三環性のセスキテルペン骨格が生成する。そのためセスキテルペンは、テルペン類の中で最も化学構造に多様性のあるグループであり、多彩な生物活性をもつ化合物が知られている。鎖状のセスキテルペンの代表例は、スズランの香りを持ち高級香料の原料となるファルネソールである。一方、二リン酸基に隣接する二重結合がE配置を出発として(E,E)-ファルネシルカチオンから10員環で閉環すると、β-オイデスモールやミブヨモギの精油成分で回虫駆除薬として有名なα-サントニンが生成し、また、11員環で閉環すると、ホップの主成分であるフムレンが生成する。一方、Z配置の(E,Z)-ファルネシルカチオンからはより多彩な環構造の化合物が生成し、例としてショウガの精油成分であるジンギベレンや殺精子作用のあるゴシポールなどがあげられる