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薬学用語解説

改良型新医薬品
かいりょうがたいやくひん

作成日: 2025年12月19日
更新日: 2025年12月19日
構造活性相関部会
© 公益社団法人日本薬学会

医療用医薬品で新規に厚生労働省の承認を得て、薬価基準に収載されたものを新薬(新医薬品)と呼ぶ。新医薬品の中で、既存の医薬品の有効成分と同一の薬効、適応症でありながら、化学構造が異なっている医薬品を改良型新医薬品といい、業界用語で「ゾロ新」と呼ばれている。特許の切れた既存医薬品と同一の成分である後発医薬品(ジェネリック、ゾロ)とは区別される。

新医薬品の中で、新規性が高く従来の治療体系を大幅に変えるような「画期的新医薬品」(ピカ新、独創的新医薬品)の開発には、試行錯誤がともない、膨大な時間、人、費用が必要である。これに比べて、「ゾロ新」はより短い期間、より少ない費用で研究開発ができるためリスクが少なく、ほとんどの製薬企業はこのような医薬品の開発を行なっている。化学構造上は基本骨格などが既存薬に類似していることが多く、Me-too-drugともよばれる。

「ゾロ新」という用語には、画期的医薬品が出たあとにゾロゾロと類似の薬が出てくるという後ろ向きのイメージがある。しかしながら、最初に登場した一番手の医薬品(ファースト・イン・クラス)に対して、有効性、安全性、コンプライアンスのいずれかに改良が加えられており、現実的に有用な医薬品である。現在疾病の治療に使われている医薬品は、発売されたときはゾロ新であることが多い。ことに他の既存薬に対して明確な優位性を持つ薬を、欧米ではベスト・イン・クラス(Best-In-Class)といっており、ほとんどの場合は改良型医薬品である。最近の医療事情を鑑みると、「ゾロ新」はもはや製薬企業の研究開発者が模倣品を指して用いた後ろ向きの言葉ではなく、医療の質と持続可能性を支えるカテゴリーとして再評価すべき項目である。新型コロナウイルス感染症パンデミック時には、既存薬を転用するドラッグリポジショニングが迅速な創薬手段としてアカデミアを中心に盛んに試みられたが、もともとは異なる適応疾患に対して有効性や安全性を新たに立証する必要があり薬事・臨床的にもハードルが高い。この点で、既知の薬理を基盤に改良をするゾロ新の開発はより実践的で現実的な手段といえる。