薬学用語解説
αヘリックス
作成日: 2025年12月19日
更新日: 2025年12月19日
構造活性相関部会
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αヘリックスは、タンパク質で最も一般的に見られる二次構造のひとつである。1本のポリペプチド鎖が規則的な水素結合によって右巻きのらせん構造を形成する。具体的には、ペプチド主鎖のカルボニル基(C=O)の酸素原子と、その四残基離れた(i → i+4)位置のアミド基(N-H)の水素原子との間で水素結合が繰り返し形成され、この規則性によってらせんが安定化する。
αヘリックスでは、1回転あたり約3.6残基が配置され、らせんのピッチ(軸方向の進み)は約5.4 Å(0.54 nm)となる。アミノ酸の側鎖はヘリックスの外側に向かって規則的に並び、疎水性や親水性の分布がヘリックスの物理化学的性質やタンパク質の機能、相互作用に影響を与える。特に膜貫通ヘリックスや両親媒性ヘリックスなど、環境に応じた多様な役割を持つ。
また、αヘリックスはN末端側が正電位、C末端側が負電位となる双極子モーメントを持つことも特徴である。ヘリックス形成傾向が高いアミノ酸としてはアラニンやグルタミン酸などが挙げられる一方、プロリン(P)やグリシン(G)はヘリックスブレイカーと呼ばれ、らせん構造を不安定にする。安定したαヘリックス構造は多くのタンパク質に存在し、全アミノ酸残基の約4分の1がこの構造をとるとされる。
