薬学用語解説
三陰三陽論
さんいんさんようろん
六病位, the six stages of disease
作成日: 2024年05月09日
更新日: 2024年05月09日
生薬天然物部会
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「傷寒論」では急性熱性病に罹った時、生命力(正気)と病気の原因(邪気)とが抗争しながらやがて死に至る過程(病気の進行過程)を6段階に分けている。すなわち病気の状態を「陽病」と「陰病」に分け、さらにそれぞれを3つに分け三陰三陽(さんいんさんよう)、あるいは六病位(ろくびょうい)と呼んでいる。「陽病」とは生命力が十分にあり、病邪と熱を出して戦っている状態で、発汗剤、清熱剤、下剤などを用い病邪を攻めながら治す。一方、生命力が弱り、病邪には体内まで入られ、悪寒中心の状態を「陰病」といい、補剤を用い生命力を補いながら治す。さらに、陽病陰病をそれぞれ3段階に分け、太陽病(陽病の初めであり、悪寒、発熱、頭痛を伴い身体の表に熱がある)、陽明(ようめい)病(陽病が最も明らかになり、胃腸系の炎症が強く、病気の症状が一番激しく現れる)、少陽(しょうよう)病(陽気が少なくなり、病位が表から裏にまたがった状態)、太陰(たいいん)病(陰病のはじめ。胃腸系の冷え)、少陰(しょういん)病(生命力は弱まり、熱は出ず、ずっと寝ていたい状態。腎、膀胱系の冷え)、厥陰(けっちん)病(生命力が今まさにつきようとしている様態。手足先端から心臓部への冷え)の六病としている。