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薬学用語解説

排泄
はいせつ
Elimination

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

薬物またはその代謝物が、体内から除去される過程。主な経路は尿と胆汁であるが、揮発性の麻酔薬の呼気中への排泄もある。乳汁を介した排泄は、母親よりも、乳児にとって重要になることがある

腎は、排泄の主要な器官であり、血漿タンパク質と結合した薬物は濾過されず、濾過液には非結合型薬物(及び代謝物)のみが含まれる。近位尿細管に入った糸球体の濾液のpHは、4.5~8.0と多様であり、薬物の排泄速度に大きな影響を与える可能性がある。非極性の弱塩基や弱酸の非イオン体は、尿細管尿から再吸収されやすい傾向がある。例えば、弱酸の化合物は、尿の酸性化により再吸収が増加(排泄が減少)し、尿のアルカリ性化においては再吸収が減少(排泄が増加)する。

分子量300以上の薬物や、極性基と親油性基をもつ薬物には、胆汁中に排泄されやすいものがある。抱合体、特にグルクロン酸抱合体は、能動的な分泌過程を経て、濃度勾配に逆らって胆道系の上皮を通過して輸送され、胆汁に排泄される。胆汁に分泌された薬物は、腸から再吸収され腸肝循環することがある。腸へ排泄された薬物抱合体も、加水分解された後、薬物が再吸収されるときは腸肝循環をする。