薬学用語解説
母子感染
ぼしかんせん
vertical infection
作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
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母親から病原体が胎盤、産道、母乳を通じて胎児または新生児に直接伝播する感染様式。胎盤感染(風しんウイルス、サイトメガロウイルス、梅毒トレポネーマ、トキソプラズマ原虫など)は、しばしば流産や死産を招き奇形や先天異常の原因となり、特に妊娠初期の風しん感染で高率に発生する。産道感染は出産時の感染でB型肝炎ウイルス(HBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス、B群溶血性レンサ球菌などによる。母乳感染は成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、HIVなどで起こる。母子感染の防止対策として、HTLV-I抗体陽性の母親による母乳哺育の禁止やB型肝炎母子感染防止事業などがあり、産道感染防止には帝王切開が行われる。