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薬学用語解説

阿片
opium、鴉片

作成日: 2024年05月09日
更新日: 2024年05月09日
生薬天然物部会
© 公益社団法人日本薬学会

けしの液汁が凝固したもの(生あへん)およびこれに加工を施したものをいう。モルヒネ、コデインやノスカピンなど約20種類のアルカロイドが含まれる。あへんは、鎮痛作用、鎮静作用、鎮咳作用、腸管運動抑制作用を有する。鎮痛作用および鎮静作用はモルヒネより弱いが、腸管運動抑制作用は強く、便秘になる。精神依存性、身体依存性および耐性を有するが、依存の形成はモルヒネより緩やかである。身体依存性を有するため、連用後中断すると、禁断症状が出現する。あへんの乱用は、精神的、身体的依存性を生じやすく、常用するようになると慢性中毒症状を起し、脱力感、倦怠感を感じるようになり、やがては精神錯乱を伴う衰弱状態に至る。アヘンは多くの国で麻薬の一種としてその製造・販売・販売目的の所持が禁止または規制されている。日本では麻薬及び向精神薬取締法とあへん法が、アヘンやヘロインの使用、所持等に加え、原料のケシの栽培自体も禁止している。