薬学用語解説
紫外線
しがいせん
ultraviolet ray
作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
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波長100~400nmの電磁波。光は空間を伝わる電磁波の一種で、ヒトの眼で感じる可視光線(波長400~780nm)ばかりではなく、約1nmから約1mmまでの電磁波を光と呼ぶ。可視光線の中でもっとも波長の短い紫色より波長が短く、約100nmまでの光を紫外線と呼ぶ。紫外線は波長の長い順にUVA(400~315 nm)、UVB(315~280 nm)、UVC(280~190 nm)、真空紫外域(190~100 nm)に分けられる。波長が短くなると生体に対する傷害性は強くなるが、地球を取り巻くオゾン層や大気中の酸素などが波長の短い太陽光線を吸収するため、地上に到達する紫外線は320nmあたりから徐々に減少し、290nm以下の波長はほとんど届いていない。紫外線が皮膚にあたるとその刺激によって表皮細胞が産生する炎症性メディエーターが周辺の細胞に働きかける結果、紅班形成や色素沈着が惹起される。このほか皮膚内細胞で活性酸素を発生させ、膠原線維や弾性線維の切断、変性を引き起し、シワの原因となる。また、DNAのピリミジン基が連続している部位を攻撃し、ピリミジンダイマーを形成させたり、あるいはDNAを切断することによって、細胞のがん化を誘発することもある。表皮中層に存在するランゲルハンス細胞に紫外線が照射されると、抗原提示機能を失うほか、ケラチノサイトからインターロイキン10やTGF-βが放出され、全身の免疫機能が低下する。また、紫外線は眼の水晶体に作用してクリスタリンを不溶化させるため、加齢白内障の大きなリスクファクターと考えられている。UVBは7-デヒドロコレステロールをプレビタミンD3に変換する作用がある。