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薬学用語解説

アスベスト
asbestos

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

天然に存在する繊維状の鉱物の総称。耐火性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、耐摩耗性に優れ、建材、断熱材、自動車のブレーキライニングなどに使用されてきた。アスベストは大きく蛇蚊岩族と角閃石族に属するものに分類され、前者ではクリソタイル、後者ではクロシドライト、アモサイト、アンソフィライトなどが代表的なものとして知られている。アスベストを長期間吸入することによりじん肺の一種であるアスベスト肺のほか、肺がんや胸腔内の漿膜に生じる悪性腫瘍である中皮腫が起ることが知られている。また、喫煙によりアスベストの発がんリスクが相乗的に増加する。一方、水道管の強度を上げる目的でアスベストセメント管が用いられた時期があるが、現在は禁止されている。アスベストが発がん物質であることからアスベスト代替材料としてガラスウール、ロックウール、チタン繊維などの人造鉱物繊維(MMMF; man-made mineral fibers、またはMMVF; man-made vitreous fibers)が用いられるようになってきた。わが国では、1995年に発がん性の高いクロシドライトとアモサイトの使用が禁止され、さらに2004年には代替化が可能であるクリソタイルなどの石綿を含有する製品についても使用が禁止された。石綿を含有する建材を使用した建築物等の解体等の作業が増加すると予想されることから、作業時の被爆防止徹底をはかる目的で2005年より石綿障害予防規則が施行された。