menu

薬学用語解説

原虫
げんちゅう
protozoa

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

単細胞の動物であり、核などの細胞内構造を有し、運動能力や捕食能力を持つ。ヒトにしか寄生できない宿主特異性の強い種類(マラリア原虫やイソスポーラなど)と、ほかの複数の動物種にも寄生し、人畜共通感染症を起す種類(赤痢アメーバやクリプトスポリジウムなど)がある。病原性は致死感染や重篤な症状を起すものから、無症状の非病原性のものまである。消化管に寄生する原虫は、飲料水や食物を介して経口的に人体に侵入して増殖し、ばく大な数の感染型を糞便とともに自然界に排出する。感染型は原虫の種類により異なるが、被嚢したシストやオーシスト、胞子(spore)などがある。赤痢アメーバやランブル鞭毛虫などはシストを、コクシジウム類はオーシストを、微胞子虫類は胞子を形成する。血液や組織に寄生する原虫の多くは特定の吸血昆虫やマダニの腸管で増殖し、これらをを媒介者として人体に感染する。マラリア原虫はハマダラカ、リーシュマニアはサシチョウバエ、アフリカのトリパノソーマはツェツェバエを媒介者とする。組織寄生性のトキソプラズマは、本来ネコ科動物の消化管寄生原虫であるが、ネズミやヒトをはじめ多種の温血動物の組織細胞内で無性的に増殖し、感染を広げる。