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薬学用語解説


なまり
lead

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

原子番号82、分子量207.19の金属元素である。ウランやトリウムなどの放射性物質は、壊変現象により最終的に鉛を生成する。208Pbは、最重安定同位体である。低融点で軟らかく加工しやすいこと、また精錬が容易であることから、古くから広く用いられてきた。鉛蓄電池、鉛ガラス、水道管、顔料、放射線の遮蔽材など、その用途は幅広い。近年では、生物への蓄積性と生体影響の有害性から、鉛の使用は避けられる傾向にある。無機鉛では、急性中毒は起こりにくく、慢性中毒が起こりやすい。赤血球寿命の短縮やヘムの生合成阻害など、造血器障害がよくみられる。有機鉛は脂溶性が高いため中枢移行性が高く、四エチル鉛などによる有機鉛中毒では、脳炎型症状を示す。体内に取り込まれた鉛は、骨に沈着性を示す。