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薬学用語解説

ダイオキシン類
dioxins

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

狭義には2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxintetrachlorodibenzodioxin(2,3,7,8-TCDD;単にTCDDと表記されることが多い)およびこれに類する高毒性の類縁物質を集合的に指す。この中には、2,3,4,7,8-pentachlorodibenzofuranpentachlorodibenzofuran(2,3,4,7,8-PenCDF)や3,3′,4,4′,5-pentachlorobiphenylpentachlorobiphenyl(3,3′,4,4′,5-PenCB)などのジベンゾフラン骨格やビフェニル骨格をもつものも含まれる。"ダイオキシン類"の表現はこの狭義の意味で使われていることが多い(以下の記述はこの意味で用いる)。「ダイオキシン類対策特別措置法」の中では、ダイオキシン類として、①ポリ塩化ジベンゾフラン、②ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシンおよび③コプラナーポリ塩化ビフェニルを総合して指すことになっている。しかし、広義には、dibenzo-p-dioxin骨格を有するすべての異性体と同族体を指す。たとえば、低毒性の1-chlorodibenzo-p-dioxinは狭義のダイオキシン類の中には含まれないが、広義の中には含まれてくる。2,3,7,8-TCDDの毒性を1としてほかの異性体や類似物質の毒性を割合として表示することが行われている(TEQ;toxic equivalency)。たとえば、2,3,4,7,8-PenCDFはTEQ=0.5であり、3,3′,4,4′,5-PenCBはTEQ=0.1である。2,3,7,8-TCDDは主にゴミ焼却時に生成するが、このほかかつて広範に利用されたポリ塩化ビフェニルなど環境中には多くのダイオキシン類が存在している。これらはその安定性と脂溶性のため生物濃縮され、主に魚介類や食肉の摂取を通してヒトにも取り込まれている。ダイオキシン類は、急性毒性を発現しない低水準の慢性的摂取による発がん性、催奇形性、後世代への障害性などが危惧されている。毒性発現機構は、細胞中の芳香族炭化水素レセプター(AhR; arylhydrocarbon receptor)と結合してこのレセプターを活性な遺伝子転写因子に変換することによると考えられているが、詳細な毒性発現機構には不明な点も多い。