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薬学用語解説

覚せい剤
かくせいざい
stimulant

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

覚醒せい剤は眠気と疲労を除去し、一時的に作業効率を高める作用を有する薬物で、「覚醒せい剤取締法」によって規定されているフェニルアミノプロパン(アンフェタミン)、フェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン)がこれに相当する。同法では、これらに加えて合成原料や中間体を「覚醒せい剤原料」として規制の対象としている。精神依存性が強く、身体依存性は少ない。1995年以降の第三次乱用期では、末端価格の低下、街頭での密売、携帯電話またはインターネットを利用した密売、注射から吸飲ヘと投与法の簡便化によって、中学生、高校生までの低年齢化が問題となっている。摂取により気分が高まり高揚感が出現する。急性に耐性が生じるため連用により大量使用するようになると、さまざまな中毒症状が出現する。中毒者は幻覚や妄想にとらわれ、しばしば障害や殺人などの犯罪を引き起す。離脱症状は使用中止後数時間から数日で異常な精神障害が現れる。覚醒せい剤の反復投与により感受性が亢進する逆耐性が生じる。このため、覚醒せい剤の使用を中断後の再使用やアルコール摂取により極めて短期間で乱用時の幻覚や妄想を伴う精神状態となるフラッシュバック現象がみられる。