薬学用語解説
シクロスポリン
cyclosporin A
作成日: 2024年05月13日
更新日: 2024年05月13日
生薬天然物部会
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土壌中の真菌Tolypocladium inflatumから開発された免疫抑制剤で、アミノ酸11個からなる疎水性の環状ポリペプチド構造を有する。肝・腎・骨髄移植時の拒絶反応抑制や再生不良性貧血、ネフローゼ症候群などに用いられる。T細胞において細胞質内のシクロフィリンと複合体を形成してカルシニューリンの活性化を阻害し、インターロイキン-2などのサイトカインの産生を抑える。ヘルパーT細胞の活性化を阻害するが、サプレッサーT細胞の活性化は抑制しない。CYP3A4により代謝されることから、本酵素の活性に影響を与える多くの医薬品・食品(マクロライド系抗生物質、カルシウム拮抗薬、リファンピシン、フェニトインなど)との相互作用が知られている。副作用として、多毛、歯肉増殖、神経症状(頭痛、感覚異常)、腎毒性、高脂血症、高血圧、消化器症状(悪心、嘔吐)がある。