薬学用語解説
ビタミンC
vitamin C
作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会
水溶性ビタミンの一つ。抗壊血病因子(antiscorbutic factor)として発見されたことからアスコルビン酸(ascorbic acid)とも呼ばれる。白色結晶で酸味が強い。水、アルコールに易溶、エーテルやベンゼンには不溶。熱やアルカリに不安定で、紫外線や銅、鉄などの金属イオンにより分解しやすい。D体には生理作用がなく、通常、L-アスコルビン酸を指す。強い還元力をもち、生体内ではさまざまな酸化還元反応に関与している。ヒト、サル、モルモットでは生合成の最終段階に関与するL-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼが欠損しており、食物からの摂取が必要であるが、そのほかの動物にはこの酵素が存在し、必須栄養素ではない。生体内の中性領域においては主にアスコルビン酸アニオンとして存在している。アスコルビン酸が強い還元作用を示すのは、容易に酸化されてデヒドロアスコルビン酸になるためである。 アスコルビン酸は小腸上部から吸収され、門脈を経て肝臓で一部は代謝されるが、多くは副腎や脳下垂体などの組織に取り込まれる。水溶性の抗酸化物質であり、チロシン代謝、コラーゲンやカテコールアミン、カルニチンの生合成、ならびにコレステロール代謝などにも関与している。コラーゲン合成では、プロリンやリシンの水酸化体生成(翻訳後修飾)にはたらき、欠乏症である壊血病はこの反応の障害に基づく。非ヘム鉄の吸収促進作用も示す。アスコルビン酸は新鮮な野菜、果物、芋類、緑茶に多く含まれ、特に柑橘類に豊富である。